祓魔師陛下と銀髪紫眼の娘―甘く飼い慣らされる日々の先に―

 自分の前からリラが消え、程なくして胸の黒い薔薇は消えた。すぐにリラの仕業だと分かった。あのときは告げられた真実に動揺し、リラの言葉も冷静に受け止められなかった。だから、リラの手を離したことをずっと後悔していたのだ。

「会いたかった」

 素直な想いを口にしてヴィルヘルムはリラを抱きしめる。名前も見た目も変わってしまったリラを見つけるのには、ものすごく苦労した。リラの住んでいた村まで使いをやったが有力な情報も得られず、最悪の事態まで想定した。

 でも、どうしても諦められなかった。だから、最後の賭けにでた。人前に出るのは苦手だし、憚れるが、もしかすると群衆に紛れて、リラが自分に会いに来るかもしれない、となんとも自惚れた考えで。

 自分は無事に三年を超せたのだと知らせる意味もあった。そして、ヴィルヘルムの狙い通り、リラは来てくれたのだ。見た目がどんなに変わっても、どこにいても見つけ出す自信はあった。現にこうして見つけだすことができた。

「陛下」

 ヴィルヘルムの腕の中で、リラが小さく呼びかける。

「私も本当はずっとお会いしたかったです。ずっと……」

 堪らなくなって、ヴィルヘルムは再びリラに口づけた。自然とどちらともなく求めあう形で、口づけはより深いものになっていく。ぎこちなくも、必死に応えようとするリラが愛しくなり、そっと唇が離れた瞬間に、リラを抱き上げた。

「陛下!?」

「それはやめろって言わなかったか?」

 なにがどうなっているのか分からず、リラはつい声をあげた。反射的にヴィルヘルムにしっかりと抱きつく。