祓魔師陛下と銀髪紫眼の娘―甘く飼い慣らされる日々の先に―

「だから、どんな存在でもかまいません。おそばに置いていただけませんか?」

 小さく震える声の後には、静寂が降りてくる。自分の心臓の音とかすかな息遣いだけが聞こえていた。ややあってからヴィルヘルムが再びリラを強く抱きしめた。

「それを願ったのはこっちが先だろ。最後までそばにいてくれって言わなかったか?」

 言い訳しようとするリラの唇に柔らかいものが触れる。それはすぐに離れて、リラが驚く暇もなく再び唇が重ねられる。触れるだけの長いキスに、染みてくる温もりはリラの心を落ち着かせていく。

「ちゃんと約束してくれ。もう二度と離れたりしない、ずっとそばにいると」

 唇が離れた瞬間、至近距離で声が届く。随分と切羽詰まったもので、打ちつける心臓を落ち着かせようとリラは必死だった。素直になってもいいのか、こんな自分でいいのかと葛藤しながらもリラは自分の気持ちを口にする。

「はい、陛下。慎んで」

「慎まなくていい。それに、私はもうお前を飼い猫にするつもりはない」

「え?」

 恭しく告げたリラに対し、ヴィルヘルムはどこかぶっきらぼうに言い放った。

「お前を飼い慣らすのは難しいとよく分かった。だから、もっと確実に繋ぎとめておく。もう離れられないように」

「もしかして私、また地下牢行きですか?」

 ヴィルヘルムの言葉の意味を自己解釈したリラが青ざめながら尋ねた。途端にヴィルヘルムの顔に不機嫌さが滲む。