祓魔師陛下と銀髪紫眼の娘―甘く飼い慣らされる日々の先に―

 リラはメラニーとしっかりと紫の瞳で目を合わせた。リラの瞳の色をメラニーは不思議そうにじっと見つめる。

「この色、不思議でしょ? 私もね、あなたと同じで、他の人には見えないものが見えるの。自分には見えていて、それを話すだけなのに、信じてもらえない、嘘つきだって言われる。頭がおかしいんじゃないかって疑われて。話すのが怖くなる。信じてもらえない、それなら、なにも言わないほうがいいんだって」

 リラの言葉を聞いて、メラニーの瞳が潤んだ。そんなメラニーを宥めるように頭をそっと撫でてやる。

「大丈夫、メラニーは嘘つきなんかじゃない。頭がおかしいわけでも、なにかが憑いているわけでもない。ちゃんとあなたの言うことを信じるから」

 ついにメラニーの瞳からは、ぽろぽろと大粒の涙が、零れ始める。

「っ、だって、みんな、パパのこと、悪く、言うもん。悪魔に、憑りつかれて、頭がおかしくなったって。私の、ことも。変だ、って。なにを話しても、信じてくれない」

 嗚咽混じりにメラニーから紡がれる言葉は、ずっと抱えていた悲しみだった。話せば話すほど、周りは変な目で自分を見てくる。

 嘘をつくなと怒られる。自分は本当のことを話しているだけなのに。それでも、幼い少女は周りを納得させるだけの言葉を持っていなかった。

「ここにいるみんな、ちゃんと分かっているわ。だから、お話しして」

 背中をとんとん、と優しく叩いてやる。リラの言葉を聞いてメラニーは頷きながらも、まだ涙は止まりそうにない。そんな状況を見て、ヴィルヘルムが声をかけた。

「ちゃんと自分の口で説明できたら、お前の望みを叶えてやる」

 まるで悪魔が契約を持ちかけるような言い草だった。おかげでメラニーは目をぱちくりとさせている。ヴィルヘルムの真意が分からないのはリラとエルマーも一緒だった。