祓魔師陛下と銀髪紫眼の娘―甘く飼い慣らされる日々の先に―

 やってきたメラニーは、どこかよそよそしく、リラたちと視線を合わせようとはしなかった。先ほどのことを気にしているのか、ヴィルヘルムの存在があるからなのか。

「この部屋のことについて、教えてくれないか?」

 首を小部屋の方にくいっと向けて、ヴィルヘルムは、リラやエルマーに言われたこともあり極力、優しめの声で話しかける。

 それにしても単刀直入だ。その発言を聞いて、メラニーの顔色は見る見る血の気が引いていく。まるで、とんでもないことが発覚したような。

「大丈夫ですよ、メラニー。僕たちはあなたを責めたりしません。誰も怒っていませんからね」

 エルマーがメラニーの前で膝を落とし、フォローしてやる。しかしメラニーはなにも言わず、じっと床を睨みつけている。こげ茶色の髪が拒絶を表すかのように彼女の顔を隠した。

「話してくれないと分かりませんよ。これはお父様のものですか?」 

 エルマーが穏やかに続けるも、メラニーは頑なだった。その様子を見ながら、リラはなんだかこの光景に既視感を覚えた。

『いい、リラ。お外であんなことを言わないで』

 祖母に優しく諭される自分。でも、どうしても納得がいかず、涙で顔はボロボロだ。

『なんで? どうして? だって本当のことなのにっ』

『しょうがないの。みんな、あなたとは同じようには見えていないんだから』

『そんな。でも、でも、私……』

「嘘つきなんかじゃない」

 思わず口から出たリラの言葉に、メラニーがわずかに反応を示した。そのままメラニーの元に駆け寄り、エルマーと同じように腰を落として、視線も落とす。