「桃華遅すぎー。みんな行っちゃうよ」



次の授業の化学は、教室棟とは反対側の管理棟にある化学室で行われる。


結構この学校広いから、急がなきゃいけないんだけれど……。



「あ、あれ!?」



化学の教科書がない……!!



「なに?どうしたの?」



美結ちゃんにそんな事言ったら、怒られそう……。


“はぁ!?何してんの?先行くよ!?”


みたいな感じで。



「美結ちゃん、先行っていいよ〜」



こんな軽い調子で言えば、美結ちゃんは“あっそう”なんて言ってそそくさと教室から出ていった。


ちょ、ちょっとくらい待ってくれてもいいじゃん!