お姫様とお嬢様

コタに薬を持って来てもらって兄貴に言わないように口止めした。



「兄ちゃん頑張り過ぎ…。」

「イイんだ…。今が勝負時。夕方の商談には間に合うように行くから。」

「僕学校行くね?」

「おぅ…。」



ひたすら眠った。



最近の寝不足を解消するかのようにただ眠った。



カチャカチャと聞こえる何かの音…。



ぼやける視界に飛び込んで来たのはコタがクローゼットからスーツを出してる姿だった。



気が付けば商談の時間…。



「何してんだコタ…。」

「僕が行くよ。」

「お前髪…。」



金髪だった髪が俺と同じダークブラウンに染まってた…。



まさか俺の代わりに…。



「名刺どこ?」

「俺が行くからイイって。コタは自分の仕事あんだろ。」

「星野に任せた。だから商談は俺一人で行く。」



自分を『俺』と言うコタは完璧に俺に成り済ましてる…。