お姫様とお嬢様

乃彩の頬に触れる秀吉の手…。



コイツマジで好きなんだな…。



「髪カワイイ。」

「あのね…。」

「待って。別れ話しなら聞きたくない…。」

「あたし…。」

「俺の気持ちはどうなんの?」



早く切り終えたい…。



でもここで帰っても俺はきっとまだまだ乃彩を忘れられない…。



「秀吉さん、鏡見えない。」

「あっ、ごめんなさい。」



この男に勝ちたい…。



俺…。



コイツに負けんのか…。



「トリートメントしてないでしょ。」

「あっ…。」

「1回行ったら?はい、完成。」

「ありがとっ…。」



負けたくない。



もうヤダ。



俺が乃彩の彼氏だって…。



俺だってそう言いたい。



乃彩にキスしたら案の定秀吉に胸倉を掴まれちゃってる。



「離してくれる?」

「ふざけてんのか?」

「乃彩、取り返す。」

「お前…。」



名刺を出して秀吉に渡した。