お姫様とお嬢様

髪を切ってる途中で乃彩を抱きしめてしまった。



「ナツ君の別れた理由が…わかんない…。」

「合わないでしょ…。乃彩はもっと上の人にしな?秀吉みたいな…守ってくれる奴。」

「ナツ君じゃなきゃイヤだって言っても?」

「ん、ワガママだな…。」



ワガママ…。



秀吉はどうすんだよ…。



「ナツ君がほしい…。」

「俺じゃムリだって…。」

「ヤダぁ!!ナツ君じゃなきゃイヤなのぉ~…。」

「そんなに泣くなよ…。」

「泣かせないでよ…。」



どうしたらイイかわかんねぇ…。



パッと離した乃彩の髪をまた切った。



もう少しで完成…。



その時に初めて秀吉を見た…。



カッコイイな…。



「彼氏のお迎え、羨ましいね。」

「えっ…。」



近付いて来る秀吉に泣き顔の乃彩…。



やっぱり俺じゃダメっしょ…。



「泣いたの?」

「秀吉…君……。ごめん…。」

「何が?」



早く逃げたい…。