お姫様とお嬢様

乃彩がこんなに近くにいるのに抱きしめられない…。



「ナツ君…。」

「ん?」

「何でこの話し受けたの…。」

「社長命令ってとこかな?」

「じゃあ断ってもよかった?」

「うん…。うん、俺はもうAQUAの持ち物だから。」

「違う。仕事抜きで…。あたしに会いたくなかった?」

「会いたくなかった。」



会いたかったよ…。



死ぬほど会いたかった。



乃彩がくれたウエストポーチも捨てられないまま…。



「あたしは会いたかった。死ぬほど会いたかった…。ナツ君がこんなに近くにいるのに…。」

「それ以上聞きたくない。」

「ヤダ!!ナツ君が近くにいるのに…。何で抱きしめてくれないの!!」

「勝手な事言うなよ!!秀吉と付き合ってんだろ!?」

「忘れたくても忘れられないんだよ!!」



乃彩が乃彩じゃない…。



こんな乃彩初めて見た…。



「最低だって思われてもイイ!!でもナツ君が忘れられないのぉ~!!」



すっげぇ嬉しい…。