お姫様とお嬢様

嬉しそう…。



「乃彩って手小さいね。」

「そう?普通じゃない?」

「俺より小さい。」

「秀吉君より大きかったらショックだよ…。」

「人に髪拭いてもらうのって気持ちいいな。」



『水木さんの手気持ちいいです』



あたしがナツ君に言った言葉を思い出した。



泣いちゃう…。



「もういいよ?」

「ダメ!!」

「何で?」

「もうちょっとこのままにしてて…。」



秀吉君の背中で泣いた…。



泣きたくないのに涙が止まらない…。



過去にしなきゃいけないのに忘れられないよ…。



「乃彩…。」



振り返った秀吉君に抱きしめられた。



不思議と安らぐこの腕…。



「ごめんっ…。」

「ムリしなくてイイよ。わかってるから。でも少しでイイから俺を好きになってほしい…。」

「ごめんなさい…。」



このまま秀吉君を好きになれたらどれほど楽になるんだろう…。