お姫様とお嬢様

舜太がいるもん…。



「樋山君ならもういないよ?」

「えっ…。」

「何か先生いわく、『急ですが今日で樋山君は転校する事になりました。』って言ってた。皆でお別れしてそのまま帰っちゃったよ?」



もういないんだ…。



舜太…。



いないのか…。



「愛芽、いつもの愛芽はどうしたの?」

「だって…。」

「もぅ!!ムカつく!!行くよ愛芽!!」



乃彩が…。



キレちゃったかも…。



愛芽の鞄を持った乃彩は片手でグイグイと愛芽を引っ張る。



着いた教室は授業中…。



「お前達遅刻して堂々と入って来るな!!」

「黙ってなよ先生。」



乃彩…。



目付きが違う…。



大河の席の前に立った乃彩はニコッと笑った…。



「愛芽に何してくれてんの?」

「は!?乃彩は関係ねぇだろ。」



大河がそう言った瞬間、乃彩が思い切り大河の机を蹴った。