魔法をかけて、僕のシークレット・リリー




「結婚式をしたい、ですって?」


眉根を思い切り寄せ、母が問う。その隣で、父も慌てたように腰を浮かせた。


「ど、どういうことだい? 結婚は、百合が高校を卒業した後だろう?」


処は花城家。藤さんと並んで座る私の目の前には、両親がいる。突然のことに、さすがに二人とも驚いているらしい。
私は頷いて、努めて冷静に答えた。


「結婚は確かに、私が卒業するまで待って下さるっていう話だけど、いま結婚式を挙げちゃいたいの。ほら、藤さんも大学卒業してからは忙しいでしょう?」

「それはそうとして……百合、あなた本当にいいの? あんなに渋ってたのに……」


疑念と心配の眼差し。良心が痛むけれど、ここは貫き通す。


「うん、いいの」

「まだ一ヶ月しか経ってないわよ? もう少しお互いを知ってからでもいいんじゃない?」

「一ヶ月で十分。藤さんが素敵な人だって、よく分かったから」


駄目押しでそう付け足せば、母はようやく口を噤んだ。相変わらず釈然としないような顔だったけれども、それ以上は藤さんもいる手前、追及できない様子である。


「百合さんを必ず、幸せにします」