魔法をかけて、僕のシークレット・リリー




「まあ、よくお越しくださいました! こちらへどうぞ」

「ありがとう。久しぶりね、杏。会えて嬉しいわ」

「桜様もお元気そうで何よりですわ!」


きゃっきゃと会話を楽しむ彼女たちの背景には、海、青空、ビーチ。

桜様が蓮様と共に参加すると仰っていたホームパーティーに、私も同行することとなった。その主催者はなんと三園さんで、桜様と彼女は中等部の頃からの友人らしい。
招待されたのは三園家の別荘。海辺に佇む立派な建物だ。リゾート地にでも来てしまったのだろうか、と錯覚してしまう。


「花城様も、お越しいただいて――むっ!?」


私を視界に入れたと同時に、三園さんが嬉々として喋り出したので、思わず彼女の前まで駆け寄って口を押さえてしまった。三園さんは悪くないのだけれど、いかんせん蓮様の手前、その名前を出されるわけにはいかない。


「み、三園さん、私のことは百合って呼んでくれたら嬉しいな~?」

「えっ!? そんな……! よ、よろしいのですか? では、私のことも是非、杏とお呼びしてください!」

「うん、呼ぶ呼ぶ! 杏ね、可愛い名前だよね~」

「か、可愛いだなんて……」