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その日も陽射しが厳しく照りつけ、朝から熱気が充満する夏日だった。
屋敷の中は涼しく快適だけれど、一歩外へ出れば汗が滴ってくる。午前中は、また懲りずに葵様と草下さんが水遊びをしているのが微笑ましかった。
「それ、蓮に持って行くの?」
お茶の用意をしていると、突然横から話しかけられる。驚いて視線を移せば、桜様が私の手元を覗き込んでいた。
「あ、ええと……蓮様もですが、桜様にもと思いまして。こちらにいらしたんですね」
「ええ。喉が渇いたから」
「そ、そうでしたか! 仰って下さればもっと早くお持ちしましたのに……」
今日は少し趣向を変えて、グリーンレモンティー。
蓮様が一番お好きなのはストレートティーだけれど、以前これをお出しした時に「まあいいんじゃない」と仰っていた。その割にはいつもより飲むペースが速かったから、きっと気に入って下さったのだろう。
「蓮は普通の紅茶以外、あんまり好きじゃないみたいよ。あ、あと、レモンよりいちごの方が好きだと思う!」
何の他意もない、ただ純粋な助言だった。桜様は朗らかにそう告げて、「私はレモン好きだけどね」と小首を傾げる。
「……そう、なんですね。ありがとうございます」
その日も陽射しが厳しく照りつけ、朝から熱気が充満する夏日だった。
屋敷の中は涼しく快適だけれど、一歩外へ出れば汗が滴ってくる。午前中は、また懲りずに葵様と草下さんが水遊びをしているのが微笑ましかった。
「それ、蓮に持って行くの?」
お茶の用意をしていると、突然横から話しかけられる。驚いて視線を移せば、桜様が私の手元を覗き込んでいた。
「あ、ええと……蓮様もですが、桜様にもと思いまして。こちらにいらしたんですね」
「ええ。喉が渇いたから」
「そ、そうでしたか! 仰って下さればもっと早くお持ちしましたのに……」
今日は少し趣向を変えて、グリーンレモンティー。
蓮様が一番お好きなのはストレートティーだけれど、以前これをお出しした時に「まあいいんじゃない」と仰っていた。その割にはいつもより飲むペースが速かったから、きっと気に入って下さったのだろう。
「蓮は普通の紅茶以外、あんまり好きじゃないみたいよ。あ、あと、レモンよりいちごの方が好きだと思う!」
何の他意もない、ただ純粋な助言だった。桜様は朗らかにそう告げて、「私はレモン好きだけどね」と小首を傾げる。
「……そう、なんですね。ありがとうございます」



