魔法をかけて、僕のシークレット・リリー



他の人の意見を聞いて、ようやく確信を得る。
気のせいなんかじゃない。蓮様は何か悩み事を抱えているのだ。

けれども、どうして急に思いつめた顔をするようになったのか。一番近くで彼のことを見ていたつもりだったのに、原因はいくら考えても分からない。


「おー、二人っきりで何話してんだよ。お前ら仲いいなあ」

「あ――――っ!」


ひょっこりと姿を現した森田さんに、私は遠慮会釈なく非難じみた声を上げた。


「森田さんッ! 私のテストの点数バラしましたね!? 最低ですよ!」

「え~? なに、何のことよ? 俺何にも知らないんだけど。佐藤の数学が三十点だったとか、マジでそんなの全っ然知らない」

「赤点じゃねえか……」


しらばっくれる森田さん、そして私の理系科目の弱さにドン引きする草下さん。
確かに点数は奮わなかったけれど、私がここで恥をかくのは違うと思う。具体的な点数開示なんて、プライバシーの侵害だ。


「あ、俺、葵様のとこ行かなきゃいけないんで……」

「草下さん、私の弱み握るだけ握って逃げるんですか!?」

「何で俺が加害者なんだよ。巻き込み事故だろこれ」