目を伏せながら言い募っていると、蓮様が不意に私の顔を覗き込んできた。驚いて身を引けば、腕を掴まれてしまう。


「どこが?」

「えっ……え?」

「どこが男っぽいの。君は女の子でしょ」


そう諭された瞬間、自分でも分かるくらい顔が熱くなった。何か返そうにも、声が出ない。

女の子、なんて響きは、むず痒いだけだと思っていた。でも彼から発されたそれはしがらみでも何でもなくて、ただ優しく掬い上げてくれるような音色を含んでいる。


「それ、まさか受ける気?」


穏やかな口調から一変、やや怒ったように問いただしてきた彼に、たじろいでしまう。


「まだ……返事はしていないのですが、」

「断って」

「え? でも、」

「いいから。これ、命令なんだけど?」


命令! はっきりと下されたそれに、背筋が伸びた。
蓮様は眉根を寄せると、苛立った口調で文句を並べる。


「なに、メンズって。何で君がやんなきゃいけないの。失礼だとか思わないわけ?」

「えっ……と、でも、多分悪意があったわけではなくて」

「当たり前。あったら言語道断でしょ」