魔法をかけて、僕のシークレット・リリー



大事なこと。確かに、そうだと思う。私の夢に直結するし、うまくいけばもう家にだって帰らなくていいかもしれない。
でもそれは、五宮家から去ること――蓮様とは会えなくなること、のような気がして。

自分でも具体的にどう話せばよいのか分からず、黙り込んでしまう。


「……僕に話したくないなら、無理に話せとは言わないけど」

「違います、決してそういうわけではなくて……!」

「まあ、座ったら」


そう言って自身の隣を叩いた彼に、硬直した。


「……え、と、座る、とは」

「ずっと立ってるのも落ち着かないでしょ。どうせすぐには寝れないし」


座るって、そこに? 蓮様の隣に?
目を瞬いてみても、彼の手がベッドの上を指しているのは変わらない。かといって他に座る場所も見当たらなくて、覚悟を決めた。

緩慢にベッドまで歩いて、ようやく彼の前で立ち止まる。失礼致します、と頭を下げ、すんでのところで躊躇していたら、突然腕を引かれた。


「ひゃっ」

「何やってんの。早く座りなよ」


重力に従って体が沈む。腰が着地した拍子に彼の肩と自分の肩がぶつかって、その近さに眩暈がした。
慌てて姿勢を直したけれど、きっと隣との距離は十センチもない。


「あああの、蓮様……一体どうしてこんな、」

「職務に集中できていない執事の話を聞くのも主人の務めだと思って」

「お心遣い痛み入ります……」