魔法をかけて、僕のシークレット・リリー



特に否定も了承もしなかったけれど、お構いなしに話し出す彼。とことんマイペースである。
でもなぜか、不快ではなかった。

これまで接してきた人は大体、自分よりも高貴で敬うべき存在だ。それが当たり前だったし、常に多かれ少なかれ緊張もしていた。
いま目の前にいる人だって、カリスマモデルで御曹司で、物凄い人だということには変わりない。だけれど、この人は少し違う。型にはまらず、変に構えることもなく。ただ堂々と、「自分」そのものを体現しているような気がした。


「私、……私も、AKANEさんみたいに自分のブランドを作りたいんです」


屈託なく自身のブランドについて語る彼の姿を見ていると、奥底で抑え込んでいた情熱がふつふつとわきあがってくる。
私も純粋に、自分に自信を持ちたかった。やりたいことを素直にやり切れる自分に、なってみたかった。


「AKANEさんからしたら、バカみたいで笑っちゃう話かもしれないですけど……私、本当に作りたいんです。誰もが自由に自分を表現できる世界」


老若男女関係なく、国境さえ越えて。しきたりや常識も全部飛び越えられる、本物のおとぎ話を。


「笑わない。別に、バカでもないし不可能でもないでしょ」