魔法をかけて、僕のシークレット・リリー



そうだ。まずはそこからだった。
私は車道の近くまで駆け寄り、深々と頭を下げる。


「昨日はお名前も存じ上げずに、大変失礼致しました。モデルの件に関しましても、」

「あー、いい。そういう堅苦しいの嫌いだから」


心底鬱陶しげな声色であしらわれたので、渋々顔を上げた。
彼は昨日と同様、私をしげしげと観察してから、納得したように頷く。


「やっぱ君、聖蘭の制服似合わないよね~。でもお嬢様なんでしょ?」

「え、いや、お嬢様というほどでもないですけど……」


そしてやっぱり失礼なんだよなあ、絶妙に。
表情を引きつらせていると、彼は自身の隣の助手席を指さした。


「まあ乗ってよ、ずっとここだと目立っちゃうし。ドライブがてら話そう」

「はい?」

「君さ、見れば見るほど逸材なんだよね。悪くない。メイクしたら化けそう」


一体、どこまで本気で言っているのか。カリスマの言うことは突拍子もなくて掴めない。
人を待っているので結構です、と首を振れば、彼は意外そうに目を見開いた。


「そう。じゃあ人を待つ間に僕の話に付き合ってよ」