魔法をかけて、僕のシークレット・リリー



そうじゃなくて、とりあえず周りの視線が痛いんだって。
今度こそ楓を全力で宥めにかかり、彼女を椅子に押し戻す。


「だって、モデルとか無理だよ。やったことないのに」

「そういう問題じゃない! ていうか百合なら経験なくてもいける、私が保証する! だから土下座して仕事もぎ取って来な!?」


最近土下座の頻度が高すぎる気がしないでもないので、それは遠慮したいところだ。いや、そうでなくともモデルは遠慮したいけれど。

まあでも、謝罪は確かに必要かもしれない。私が無知なせいで結局最後は呆れさせてしまったし、色々と態度に無礼な部分が滲み出ていたのだろう。
だからといって、それだけのためにわざわざ会う約束を取り付けるのもなあ。

――そう思っていた矢先のことである。


「ちょっとー、そこの失礼なお嬢さん」


その日の授業終わり。いつもの通り校門で蓮様を待っていると、道路の方から軽快な声が飛んできた。
つい最近聞いた覚えのある声に、まさかと思いつつも振り返る。


「えっ、あ、AKANE……さん?」


真っ赤な車の窓から顔を出し、彼はサングラスを外して「へえ」と眉尻を上げた。


「僕の名前、誰かに教えてもらった?」

「あ、ええと」