と、背後でドアが開いた。
抑揚のついたはっきりとした声が、澄んだ歌のごとく耳に入ってくる。
「お兄様……!」
そう声を上げた三園さんに、え、と私は面食らった。
「今日はお友達を呼ぶと申し上げたじゃない。勝手に入ってこないで」
「ああ、ごめんって。ちょっと忘れ物」
親しげに会話をする二人に呆気に取られていると、三園さんが慌てた様子で私に向き直る。
「花城様、こちら私の兄です」
三園さんに手を差し向けられた彼は、妹と同じ赤みがかった目を細め「どうも」と微笑んだ。
「いつも妹と仲良くしてくれてありがとう」
「ああ、いえ……」
花城百合です、と簡単に名乗って会釈をすれば、彼の手が伸びてくる。握手に応えながら、彼の顔に見入ってしまった。
美しいというのはもちろんなのだけれど、彼の顔立ちは中性的である。鼻がぐんと高く、そこで男性らしさがかろうじて助長されていた。
更に彼を中性的に見せるのは、その髪型。肩下ほどまで伸びたレッドブラウンの髪を後ろでひとまとめにしている。
「このメイクをしたのって、花城さん?」



