この瞬間が好きだ。彩られた瞼が上がって、眠っていた宝石が陽の光に当たるみたいな、そんな瞬間。
チークは思い切ってラベンダー単色にした。メリハリをつけるためにリップは少し濃いめの、赤みが強い色を選択する。
「よし、完成!」
我ながら上手くいったので、大きな声を上げてしまった。驚かせてしまっただろうか。三園さんは鏡を見たまま呆然と固まっている。
今更だけれど、やや強引に始めてしまったし、彼女の好みもろくに聞くことなく仕上げてしまった。それが気に食わなかったのかもしれない。
「あの、三園さ……」
「花城様!」
今度は彼女の方が大声を出したので、びくりと肩が跳ねた。どもりながらも「はい」とかしこまって返事をすれば、三園さんは振り返って目を輝かせる。
「すごいです、一体どうやったのですか!? 目を開けた時にはもうこうなっていましたよね!?」
「えっ? あ、はは……ええと、その、ちちんぷいぷいって感じで、こう……」
「まるで魔法みたいですのね……!」
冗談で言ったつもりだったのに、三園さんは随分とピュアだ。でもその一言でどうしようもなく嬉しくなって、頬が緩んだ。
「杏、何騒いでるんだ?」



