魔法をかけて、僕のシークレット・リリー



その試作品として、様々なメイク道具が彼女の家に溢れかえっているらしい。一部屋を占領してしまうほど、との表現が彼女の口から飛び出したので、ぎょっとしてしまった。


「それで、もしよろしければお二人にも使ったご感想を伺えればと思ったんです。女性の意見も必要でしょうし」

「なるほど……でも、楓も私も普段あんまりメイクしないし、お役に立てるかは分からないよ」


ましてや、御曹司プロデュースのブランドだ。下手に口を出せばどうなるか分かったもんじゃない。すごくいいと思います、以外の感想が許されるとは到底思えないのだけれど。

すると三園さんは急にもじもじと体を揺らして、小声で話し始めた。


「……というのは口実で、本当はお二人と仲良くなりたいだけなんです。お恥ずかしいですけれど、友人が少ないものですから……」


しおらしく述べる彼女に、楓と二人で「おやおや」「まあまあ」とアイコンタクトを交わす。何だかこうして童心に返ったような態度を取られてしまうと、人間弱いものである。


「それじゃあ、お言葉に甘えて。……あ、ごめん。私はちょっと、許可がもらえたらの話なんだけど」


これもやっぱり、蓮様に一応聞いてからの方がいいかな。そう思いながら了承した私に、三園さんは「花城様のおうち、厳しいんですね」と無垢な瞳で頷いていた。