気が急いて、早口になってしまう。
せっつくように問うた私に、蓮様は数秒宙を見つめたまま黙り込み、それから切り出した。
「秘密基地」
「え?」
「ついてきて」
言い終わるや否や、彼は背を向けて歩き出す。慌てて立ち上がり、私は後ろを追いかけた。
木堀さんにも伝えようか迷ったけれど、ここに葵様がいないと決まったわけではない。ひとまずは蓮様の言う「秘密基地」とやらを確認するのが先決だ、と思い直した。
「外、ですか? それに、結構歩きましたけれど……」
別荘から出て、夜の森の中を進んでいく。
持ってきた懐中電灯で辺りを照らしても、景色はひたすらに木々が連なるだけで、変わり映えしなかった。蓮様は先程から迷わずに突き進んでいくけれど、葵様を探すどころか、私たちまでこの中で彷徨って帰ることができなくなってしまいそうだ。
「近道があるんだよ。葵だったら通れるけど、僕たちじゃもう通れない。だから普通に歩いていくしかない」
葵様は近道を使って、この短時間で目的地に到達したということだろうか。
すっかり時間の感覚が麻痺してしまった。そのまましばらく歩き続け、さすがに引き返した方がいいのでは、と弱気な考えが頭を支配した時。
「わ……」



