*
「佐藤さん! ちょっといいですか?」
蓮様と葵様の夕食が終わり、その片付けがひと段落した頃だった。木堀さんに声を掛けられ、私は足を止める。
「どうしましたか?」
「少しだけお手伝いしていただきたくて……私一人だと、どうにもならないんです」
いいですよ、と頷きながらも、具体的な内容が分からない。力仕事だろうか。だったら草下さんの方が適任だと思うのだけれど。
ひとまず彼女の後に続いて歩いていく。
別荘の間取りはまだ把握できていなかった。本邸よりはささやかなものの、部屋の数は負けず劣らずだ。
「ここのお部屋なんですけど……」
一番奥の部屋まで到達し、木堀さんが振り返る。その表情には何とも言えない緊張感が滲んでいた。
「実はさっき、カメムシを見つけてしまって!」
「カメムシ、ですか」
「そうです! あの強烈な忍者ですよ! 全くどこから入ってきたのか……」
周りは森だし、まあ無理もない。
彼女の言動から察するに、虫が苦手なのだろう。私は正直そんなに可愛らしい性質は持ち合わせていないので、「わあ出ちゃったね」くらいの気持ちだ。
「佐藤さん、申し訳ないんですけど、ちょっとだけお部屋の中確認してもらってもいいですか?」
「佐藤さん! ちょっといいですか?」
蓮様と葵様の夕食が終わり、その片付けがひと段落した頃だった。木堀さんに声を掛けられ、私は足を止める。
「どうしましたか?」
「少しだけお手伝いしていただきたくて……私一人だと、どうにもならないんです」
いいですよ、と頷きながらも、具体的な内容が分からない。力仕事だろうか。だったら草下さんの方が適任だと思うのだけれど。
ひとまず彼女の後に続いて歩いていく。
別荘の間取りはまだ把握できていなかった。本邸よりはささやかなものの、部屋の数は負けず劣らずだ。
「ここのお部屋なんですけど……」
一番奥の部屋まで到達し、木堀さんが振り返る。その表情には何とも言えない緊張感が滲んでいた。
「実はさっき、カメムシを見つけてしまって!」
「カメムシ、ですか」
「そうです! あの強烈な忍者ですよ! 全くどこから入ってきたのか……」
周りは森だし、まあ無理もない。
彼女の言動から察するに、虫が苦手なのだろう。私は正直そんなに可愛らしい性質は持ち合わせていないので、「わあ出ちゃったね」くらいの気持ちだ。
「佐藤さん、申し訳ないんですけど、ちょっとだけお部屋の中確認してもらってもいいですか?」



