罪と罰~クライ・クロウ~

漆黒の処刑人が

腰にはいた双剣に手をかける。

周囲の空気を切り裂いたふた振りの剣は

青年の体を切り裂いた。

そしてその瞬間、青年の体が

鮮血を出してくずおれる。

そんな瀕死の状態になってもまだ青年には

息があるようだった。

赤い吐息をもらしながら青年は

迫り来る死の恐怖と戦っていた。

「…ゴホッ…ハァ…ハァ…」

喘鳴と霞む視界の中で青年は呟いた。

「君の赤いキレイな瞳を僕のコレクションに

入れたかったな…きっと…

きれい…なんだろうな…」

クロエは動かない青年を見ながら

冷徹に笑った。

「俺をコレクションするなんて無理さ。

だって俺は…」

最後の言葉を聞き終わる前に

青年は意識を放す。

後に残ったのは、生あたたかい青年の死体と

青年に壊されてしまった少女達の

亡骸だけだった。

クロエは俯きながらひっそりと呟いた。



「…魂よ。永遠に。」