私は、大学を卒業して大手のおもちゃ会社。
『新堂スター・コーポレーション』に就職して2年目になる。
 秘書課で1年働き、そして…憧れの社長専属秘書までになった。
秘書は、子供からの夢で本来なら天職になるはずだった。

ただ1つの問題を除いては……。

「社長。この書類に捺印を頂きたいのですが……」

「押してやってもいいが。
その代わり…この書類に君のサインと判子を押してくれ」

「……無理です」

 だって、それ婚姻届じゃない!!
というか毎度、毎度何で持ってきているのよ!?

 しかも何故?と言わんばかりに社長は、不思議そうに首を傾げてきた。

 何故も何も社長…あなた既婚者でしょーが!?
心の中で何度そうツッコんだか分からない。
 なのに何故か私に言い寄ってきた。

「法律的にも無理ですから。そんなことより早く捺印を下さい!」

 いつも、こんなやり取りを繰り返していた。
問題の原因は、この人だ。新堂秀一(しんどうしゅういち)36歳。

 祖父の代から引き継ぎこの新堂スター・コーポレーションを世界有数の
おもちゃ会社まで成長させたカリスマ社長。

頭が切れてかなりのやり手。
 その上、容姿も完璧で…会社の女子からも絶大な人気がある。
私だって初め見た時は、理想通りの人で一目惚れをしたぐらいだ。

 だけど彼には、重大な欠点があった。
それは、彼の左薬指に光る結婚指輪だ。
 すでに妻子が居る既婚者。例え結ばれようが
それは、不倫になってしまうからだ。