本社に異動した俺を待ち受けていたものは、今までとは比べ物にならないほどのレベルの高さだった。


東京本社での俺の担当は、主に大学病院やそれと同レベルの大病院で、以前のようなわけにはいかないことを痛感した。


でも、そんな俺を救ってくれたのが、ひとみのメール、ファックス、そして月に一度の国際電話だった。


ひとみも言葉や文化の壁に悩みながらも、ひたむきに頑張っている様子を聞くと、


「俺も頑張らねば…」

そんな気持ちにさせられた。

ひとみは電話をしていても泣くこともなく、むしろ
俺を元気づけてくれた。


本社の環境に慣れてくるにつれて、ドクターからの信頼も寄せられるようになり、会社での俺の評価も徐々に上がってきたのだった。

本社に来て3度目の春を迎え、ひとみがもうすぐ日本に帰国するという嬉しい知らせがあった。

そんなある日、俺の運命を変える出来事に出会った。