泣きたい夜には…

えっ!?

看護師達の会話に俺は耳を疑った。


さっきひとみは、何もすることがなかったなんて言っていたけど、本当は命に関わるほどの大変なことになっていたのではないのか…?


すっきりしない気持ちのまま、駐車場に行くと、

『慎吾、遅い!』

ひとみは既に俺の車に寄りかかって待っていた。

笑顔を見せてはいるものの、疲れの色は隠せなかった。

「ひとみ、お疲れ…」

車のドアロックを解除すると、ひとみは助手席に乗り込んだ。

車が走り出してからマンションに着くまでの間、俺達は一言も口を聞くことはなかった。


マンションに着くと、いつものように一旦自分の部屋に戻り、着替えてからひとみの部屋に行った。


『ごめ~ん!疲れちゃったから、今日はカレーだけね。』

ひとみは申し訳なさそうに、テーブルにカレーを置いた。

「いいよ。疲れてるんだから…」

俺達は食事の間も言葉を交わすことはなかった。

いつもだったら、食事のこと、仕事のこと等、色々な話をしながら、楽しい時間のはずなのに…