泣きたい夜には…

向井先生はタバコを取り出し、火を点けると、

『キミが反対したのか?』

そう言うと、フーッと大きく煙を吐いた。

へ!?

は、反対って…?

「先生、反対も何も、ひとみに何があったんですか?

最近あいつ、元気がないし、考え込むことが多くて…とにかくおかしいんです。

私には必ず話すからと言っていますけど、公にはなっていないだけで、医療ミスでもしたんじゃないかと心配なんですよ。」

俺は最近のひとみに対して抱いていた思い、疑問を先生にぶつけた。

先生はフッと笑うと、

『成瀬さんはひとみのこと…本気なんだね。』

先生はそう言うと、まだ長いままのタバコを灰皿に押しつけた。

『ひとみは医療ミスなんて犯していない。でも、医師としてのキャリアを自分から潰そうとしている…』