「お前、このごろどうしたんだよ!何かあったのか?」

思い切って聞いてみたけれど、ひとみは首を振って、

『何でもない…』

ただその一言だけ。

いったい何があったというのだろうか?

ひとみへの心配を抱えながら、大学病院に新薬の紹介をしにあちこちの診療科、教授のところを順番に回って行った。

一通り終わって、会社に戻ろうとすると…

『いい加減にして!そんなこと…あなたに言われる筋合いないわよ。』

ん?

どこか聞き覚えのある声…

『もう一度考え直してくれ…ひとみ…』

ひ…

ひとみぃぃぃぃ!!?

声のする方に目をやると、
ひとみと向井先生が中庭のベンチで何か話をしていた。

ひとみはうんざりした表情で視線を宙に飛ばしている。


考え直してくれ…って…

どういうことなんだよ…