色々なことがありすぎた夏休みが終わり、

10月、食欲の秋、

『栗ご飯もいいかなぁ…』

スーパーの買い物に付き合っているのだが、今日のひとみは食材を決めるのに時間がかかりすぎていた。

「お前、熱でもあるのか?」

額に手を当てると、熱はなさそうだ。

『ないってば!』

でも、いつもの元気がない。

「今日はどこかにメシ食いに行くか?」

ひとみは立ち止まって

『そうしてもらってもいいかな…あ…』

急にひとみの表情が固くなった。

視線の先には…

ひとみの元彼の向井先生と奥さんと思われる女性が仲良く買い物をしている姿が目に飛び込んできた。

一緒にいた女性は妊娠しているのか大きなお腹をしていた。

「行こうか?」

俺はひとみの手を引いてスーパーを出た。

このところ、ひとみの様子がどうも変だ。

どこか上の空で、何だか考え込んでいることが多くなった。

仕事が忙しいからだと思っていたけれど、どうもそれだけではないような気がした。