泣きたい夜には…

『小児科に行って、自分の考えの甘さを思い知らされた。

あんな小さな体で一生懸命生きようとしている子供達を助けたいと思った。ううん、助けなきゃって思ったの。

ひとりでも多くの未来ある子供の命を助けること、これが私の医者としての使命だと思っている。

だから私は医者になったことを後悔していない。むしろ、なって良かったと思っているよ。』

自信に満ち溢れた表情でひとみは言った。

そんなひとみを俺は心からきれいだと思った。

「俺もひとみが医者になって良かったと思っているよ。

ならなかったらお前に出会うことはなかっただろうから…」

俺が言うと、ひとみははにかみながら俺に抱きついて来た。

「風呂…一緒に入るか?」

俺の言葉にひとみは真っ赤になって、

『うん…』

小さな声で言うと俯いてしまった。

ひとみの手を取り、部屋風呂…しかも露天風呂に行こうとすると、

『失礼します。お夕食をお持ちしました。』

仲居さんの声が聞こえた。

『あぁ、もう夕食の時間なんだ。』

ひとみは安堵の表情を見せた。

チッ、邪魔が入ったぜ…

でも、腹減ったぁぁぁ!!!