『じゃあこれ!伊豆の温泉で、部屋から花火大会が観られるプランはどう?』

ひとみは俺の愛情表現(妨害工作?)を必死に掻い潜り、ようやくこれと思われる宿を見つけた。

「部屋から花火が観られるなんていいよね…観ながらだってこんなことできるし…」

俺は冗談半分に、ひとみの肩にあった手を前に伸ばしていくと…

パチン!

思いっ切り手を叩かれた。

「痛っ…」

ひとみは俺を睨むと、

『誰が悪いの?』

怖…

「お、俺です…スミマセン…」

ちょっと悪のりし過ぎたから、しばらくおとなしくしていると…

カチカチッ…

カタカタカタ…

マウスとキーボードを叩く音が部屋に響きわたった。

『よーし、予約完了!』

ひとみは両手を上げて大きな伸びをした。

「お疲れさん、夏休みが楽しみだな…」

さっきのこともあって、遠慮がちにひとみの肩に手を置いた。

『うん…』

ひとみは椅子から立ち上がると、

『お待たせ…』

そう言うと、俺の首に腕を回した。