泣きたい夜には…

今まで避けていたこと…

もうはっきりさせないといけないような気がした。

友達ならそれはそれでいい、

それ以上の関係…

確かに一度はそういう関係になったけど、

プライドの高いひとみがどこにでもいるMRの俺を好きになるはずがない。

ひとみは俺から視線を外すように俯くと、

『嫌いじゃ…ないよ…』

小さな声がした。

また、漠然とした答えで…

でも、嫌いじゃないなら、好きでもないってことか?

まぁ、覚悟はしていたけれど、ちょっとキツイかも…

『嫌いじゃないから、慎吾のためにご飯作ったり、ありさ先輩に嫉妬したりするんじゃないの!』

さっきよりも少し大きい声でひとみは言った。

「お前って本当に素直じゃないのな?」

俺が言うと、

『えぇ、どうせ私は可愛くないですよ!』

そう言って顔を上げたひとみの頬に触れた。

「いや、可愛いと思うけど?」

俺の一言にひとみの頬は一瞬にして赤く染まった。

『し、慎吾こそ…どう思ってるのさ?』

俺はひとみの頬を優しく撫でると、

「お前のこと嫌いだったらとっくに放っておいてるよ…」

俺が言うと、驚きのあまりにひとみの目は大きく見開かれた。