ひとみの表情は、それはもう不機嫌極まりないという感じで、

「お前、何か誤解してない?彼女は取引先の人…それだけだよ。」

でも、何で俺、こんな言い訳しなければならないんだ?

『あの人、すごい綺麗だったね。大人っぽかったし、慎吾にはそういう人の方が合ってるのかも…』

そう言うと、駐車場に向かって走って行ってしまった。

追いかけたいのはやまやまだけど、まだ仕事が残っている。

「後で、部屋に行くから!」

ひとみの後姿に向かって叫んだけど、振り向くことはなかった。

はぁーっ!

大きなため息を吐くと、すぐに会社に戻り、急いで仕事を片付けた。

マンションに着いた頃には8時を回っていた。

駐車場にはプラッツもある。

俺はひとみの部屋の前に立ち、インターホンを押した。