俺は彼女のおっとりとした中に隠された芯の強さを見たような気がした。

とてもじゃないが、俺では歯が立たない。

いったいどんな男が彼女を口説き落とすのだろう。

『ありさちゃ〜ん!』

背後から男性の声が聞こえてきた。

振り返るとそこには、ブランドスーツに身を包んだ長身の若い男性が立っていた。

男の俺が言うのもおかしいが、センスもいいし、かっこいい!

でもこの人、テレビに青年実業家としてよく出ている。

もしかして、高山さんの彼氏?

『あ、和磨くん!じゃ、ビジネスパートナーが来たから…これで…』

高山さんはそう言って、彼の所へ行くと、高級車に乗り込み、どこかに走り去った。

はぁー!

住む世界が違いすぎる…

『あーあ、振られちゃったわね!』

声のする方を見ると、

「ひとみ!」

仕事を終えたひとみが腕組みをして立っていた。