泣きたい夜には…

彼女は向井への想いを全て涙と一緒に流してしまいたいのだろう。

そう思うと、何だか放っておけなくて、

俺は彼女をそっと抱きしめた。

いつもなら、こんな女めんどくせーと思うのに、

何だろう…

この気持ちは…

深い悲しみの淵にいる彼女を救ってあげたい。

もう一度、あの笑顔を見たい…

心からそう思った。

彼女はひとしきり泣くと、
『ごめん、ティッシュ取ってくれる?』

急いで箱ティッシュを取ってあげると、

彼女は涙と鼻水を拭くとようやく顔を上げた。

『ありがとう…もう大丈夫だから…

あぁぁぁ!!!ごめんなさい!!!シャツがびしょびしょ…。』

俺のシャツは彼女の涙と鼻水ですごいことになっていた…。