彼女は一瞬驚いて俺を見たけど、クククと笑うと、

『な〜んだ、知ってたんだ。』

ポツリと言うと天を仰いだ。

「今日、坂田教授の所に行く途中で、偶然キミと向井先生がもめているのを見てしまったんだ。

その後、向井先生が坂田教授の所に来て、教授から結婚の話を聞いた…」

彼女は大きな溜め息つくと、

『向井は私が内科で研修医をしていた時の指導医だったの。

仕事中は厳しかったけど、それ以外はものすごく優しくてね…

そのギャップにハマっちゃって、気がついたら彼のこと好きになってた…』

彼女はキッチンに行くと、冷蔵庫を開けた。

「酒はやめろよ！」

俺が言うと、

『誰が飲むって言った？』

そう言うと、ペットボトルのミネラルウォーターを２本取り出すと、１本を俺に投げた。