確かに教授の言うとおりだ。

「あの時は本当にありがとうございました。

先生に助けていただけなかったらどうなっていたのか…

早くお礼を言いたかったのですが、あの後なかなかお会いすることができなくて…すみませんでした。」

俺はやっとアサクラさん、いや浅倉先生にお礼を言うことができた。

『いいえ、医師として当然のことをしたまでですから…』

浅倉先生はそう言うと、恥ずかしそうに笑った。

『でも、次からは救急車を呼びなさいよ！』

教授はやんわり釘を刺した。

『はい…あ、学会出張の報告書です。』

浅倉先生は教授のデスクに分厚い書類を置くと教授室を後にした。

俺も上司からの頼まれた資料を教授から受け取り、彼女の後を追った。

「あ、あの、浅倉先生！」

彼女は振り返ると、

『成瀬さん…だっけ？あなた今晩…空いてる？』