泣きたい夜には…

「えぇぇぇぇ!!!?」

『あぁぁぁぁ!!!?』

俺は自分の目を疑った。

だって、院長の娘というのが…

「ひ、ひとみぃ?」

『し、慎吾ぉ?』

恐らくこれは、31年間生きてきた中で一番の驚きになるだろう。

でも、何でひとみがここに?

そういえば、院長のことをお父さん…て…

ま、まさか…

『成瀬くん、紹介しよう、娘のひとみだ…って紹介するまでもないよね?』

院長はそう言うと、俺とひとみを見てニヤッと笑った。

ひとみが桂川院長の娘…

ということは、桂川総合病院の跡取りはひとみなのか?

嘘…。

ひとみは院長に詰め寄り、両手で机をバンッと叩くと、

『お父さん、どういうこと?説明してちょうだい!』

お、おい…。

俺は予想外の展開に頭の中はパニックに陥っていた。

『いいじゃないか…お前達の結婚を許すって言っているのだから。』

院長は悪びれる様子もなく、さらりと言った。