泣きたい夜には…

そして1週間後の金曜日。
院長との約束の時間が近づいてきた。

仕事を終えた俺は、決意の証をジャケットのポケットに入れ、車に乗った。

院長に最後の返事をしたら、帰国したひとみに会いに行く。

今日が俺にとって、人生最大のヤマ場。

いつも運転し慣れている道だというのに、緊張しているのか、慎重にハンドルを握りしめる自分がいる。

大丈夫…

きっとうまくいく…

いつもなら、会社から病院までなんてあっという間の距離なのに、何故だろう、今日はとても遠く感じてしまうのは…

大丈夫…

絶対大丈夫

しっかりしろ、慎吾!

俺はハンドルを握り直すとスピードを上げた。