♡桔梗 side♡ 「ーーちゃ、ーー梗……!」 誰かの呼ぶ声がする。 でもどうしても、 この瞼をあげたくなかった。 「ーーん! ーー梗ちゃん!」 目を開けてしまったら最後、 現実と向き合わなければいけなくなるから。 「ーー桔梗ちゃん!!」 「!」 ひときわ大きな声で呼ばれ、 驚きで反射的に目を開けてしまった。 「……あ」 明暗がはっきりしすぎて、目を細める。 顔を横に向けると、 あたしの顔を鈴蘭が覗き込んでいた。