「圭ちゃんってば支離滅裂だよ」
「あのな、やっていい事とダメな事があるだろ」
「ダメな事って、友達の彼女にハグすること?」
「それ以外に何がある」
「じゃあ、自分の彼女に告白させるのはOKなの?」

圭一は言葉を詰まらせる。
言うてる事とやってる事がバラバラな事に自分でも気付いてる。
だから何も言えんのやろう。

今回は圭一の完敗。

笑いを堪えて、圭一から離れる。
ごっちゃんを見ると歯を見せて笑う。
怒ってなくてホッとして、同じように笑ってみせた。

「さ、帰ろっか!」

圭一の腕に自分から手を伸ばす。

「文也もね」

同じようにごっちゃんがアヤちゃんの腕を取って、強引に腕を組む。
圭一は一人わけがわからず、眉間にシワ寄せてる。
・・・可哀相に。

「なに?」
「帰ろって」
「は?」
「圭ちゃん帰ろ」
「なに言ってんの?」
「圭一くんってば本気にしすぎだから」
「…は?」
「圭ちゃん、真ちゃんにゾッコンだから」
「いや、違うから…」
「いいな~!あたしもゾッコンとか言われたーい!」

なんか話の主旨変わってない?とか圭一は言うけど、それがあたし達なんやろう。
大学で知り合って、仲良くなって、なんでも話せるようになって、これからもっそれは続いていく。

春からはそれぞれがそれぞれの未来に向かって歩んで行くんやろうけど、それでも多分、“あたし達”はずっと変わらんまま。

例えばもし、あたしと圭一が付き合ってなくても、この関係は続いていくんやろうと思う。

あたしの隣には圭一がおって、その反対隣にはごっちゃん。
その隣にはアヤちゃんがおって、こうやっていつまでも並んで歩いていくんやと思う。

ていうか、そうやって4人で歩いていけたら、辛いことも悲しいことも全員で補えていけたら、最高に楽しい毎日が送れるんちゃうかって思う。
てか、絶対なる。

「おい、意味がわかんないんだけど」
「まだ言ってんの?圭ちゃん」
「帰ったら説明してあげれば?」
「気が向いたらね」



-完-