…今度はどこに行くんだろう?

街中から離れ、高速に乗ってしまった。

「…御崎社長、あの、どこに?」

今日は、外出許可をとっただけで、そんなに遠出はできない。

「…着けば分かるよ」
「…御崎社長、遠出はちょっと」

不安げに答えれば、零士は私の頭を撫でるだけで何も言わず、静かに車を走らせた。

…。

私は着いた場所を見て、目をパチパチしてしまった。

「…ここは」
「…あぁ、勿論空港、ほら降りて」
「…え、いや、遠出は無理だって」

「…小林先生から許可はもらってる」
「…え???」

呆気にとられる私を連れ、零士は空港のロビーに向かい、搭乗の手続きをしている。

「…え、それ、私のパスポート」
「…満里奈のお兄さんから借りた」

その答えに目を見開くが、あまり時間がないようで、零士は淡々と手続きをすませていく。

「…あの、行き先は」
「…アメリカに」

「…」

あ、アメリカに?!どう言うこと?

私は訳がわからず零士を見た。

「…満里奈、詳しいことは、飛行機に乗ってからな」
「…の、乗りません!」

逃げようとする私を掴んだ零士は有無を言わさず、搭乗ゲートをくぐってしまった。

「…御崎社長!」
「…落ち着け、体にさわる」

「…誰のせいですか?」
「…満里奈のせいだ。手術を受けようとしないから」

その言葉に、驚かずにはいられなかった。