「…今から身支度して出られるか?」

一馬の言葉に、困惑する。だって。

「…恵がいるの。急には「…大丈夫です!今すぐ準備して出ますから」

私の言葉を遮って、恵が言った。

「…恵でも」
「…いいからいいから。満里奈も準備して」

「…すみません、恵ちゃん」
「…いえいえ」

「…下の車で待ってるから」
「…うん」

一体何の用だろうと思いながら、身支度して、恵と共に外に出た。

「…ゴメンね」
「…いいよー。じゃあ、またね」

別れた私は一馬の車に乗る。

「…どこに行くの?」
「…父さんのところ」

…何でまた急に?

疑問は拭えないまま、車は実家へと向かった。

…久しぶりの我が家。長いこと帰ってなかったことを思い出す。

父は心配性なので、一馬を使って連れ帰らせたのかな。

「…行くぞ」
「…うん」

車を降りて、自宅の中へ。

応接室で父が私たちを待っていた。

「…おかえり、満里奈」
「…ただいま、お父さん」

私と一馬は隣同士に座り、向かい側に父が座った。

「…満里奈、今日は、大事な話があって来てもらった」
「…大事な話?」

一体それは?

「…満里奈、お前はお父さんの子供じゃない」

衝撃的な告白に瞬きするのも忘れてしまう。

「…勿論血は繋がってないんだが、これを言ったからといって、満里奈がもう私の娘じゃなくなったなんて思ってない。これからだって、満里奈は私の娘だ」

「…それなら、秘密にしておいてくれればよかったのに」

その言葉に、父は苦笑いを浮かべる。

「…そうだな。私もそのつもりだった。だが、状況が変わった」

「…状況…」


「…一馬が、満里奈を自分の嫁にしたいと言い出したんだ」


…なっ。私は一馬を見る。