鏡の先の銀河鉄道

 「あれは、記憶の結晶だよ。どんな人間でももっている過去の記憶が、あの石には詰っている。思い出したくない記憶も・・・全部詰っている。」
 
 『記憶の結晶』
 
 あの蒼い石一つ一つに、いろいろな人間の記憶が詰っている。
 
 子供時の記憶
 
 前世の記憶
 
 
 
 忘れてはいけない・・・記憶。

 
 
 自分たちの知らない記憶。
 その中には、俺が知らない『カムパネルラ』としての記憶の結晶も存在しているのかもしれない。
 「俺のも・・あるか?」
 聞くつもりはなかった。でも、気づいたら言葉にしてしまっていた。
 「・・・・あるよ。」
 ジョバンニの感情が変化したのがわかった。その変化は恐怖に似た威圧感を秘めていた。
 そして、その威圧感に足が震え。動くことを許さなかった。一歩でも、歩きだしてしまったらジョバンニの威圧感に食い殺されてしまう。そんな時、俺の恐怖心とは正反対な賑やかな音楽と楽しそうな人の声が聞こえてきた。
 人の声に少しだけ遅れるようにして、頭上の沢山の星が流れ出した。すごい早さで流れているのか、ゆっくり流れているのか、それすら理解できないほどに空を埋め尽くしていた。