鏡の先の銀河鉄道

 そしてまた、機械的な声が車内に響いた。
 『マモナクシシ座ステーションニ、到着イタシマス』
 窓の外に輝いている木星が少し後ろの位置に移動した代わりに、前方から星とは違う光を放つ存在が現れた。

 そして、ゆっくりと銀河鉄道は停車した。
 
 「僕は、先に行くよ。レグレス様にこれを届けないといけないからさ!」
 シリウスは、そう言いながら『蒼い石』の入った重そうな鞄を持ちながらそそくさと銀河鉄道を降りて行った。
 「レグレスって、誰?」
 「このしし座の偉い人だよ。どの星座にも長がいるんだ。で、このしし座の長がレグレス様だよ。」
 
 『レグレス』
 
 それは、しし座の一等星
 
 美しく瞬く星
 
 「まぁ、会うことはないんじゃないかなら。次の流星際をやる星座に、あの蒼い石の原石を渡したりとか忙しい人だから。」
 ジョバンニは、俺に話しかけながら銀河鉄道を降りて行く。俺も、彼に置いてかれないように降りた。
 銀河鉄道を降りながら、俺はあの『蒼い石』を思い出していた。あれを何に使うのかなんて知らない。それでも、あれは俺を飲み込もうとしていた。触れてはいけないモノのような・・・・それでも、あれに触ってみたいと思う好奇心を消せていないの事実だった。
 「なぁ、ジョバンニ・・・あの石は何なんだ?」
 ジョバンニは、俺のことを睨み付けた。
 そして、ゆっくりと表情を笑顔に戻していく。