鏡の先の銀河鉄道

 俺の事を助けてくれるのは、ジョバンニだけかもしれない。そんなことを思いながら、俺はジョバンニ助けを求めていた。
 「大丈夫だよ、カムパネルラは疲れるだけだよ。」
 ジョバンニは、それ以上は何も言わなかった。
 
 言ってくれなかった。
 
 でも、今の俺にはそれで十分だった。『疲れている』そんな簡単な言葉で救われた気持ちになる。
 窓の外には、あいかわらず沢山の星が輝いていた。そんな沢山の星の中、俺の視線を奪ったのは、写真でしか見たことのない『木星』だった。

 それは、大きく他のどの星よりも美しく輝いていた。
 
 「すげぇー、本物だ・・。」
 溜め息と一緒に、言葉が漏れる。
 俺の言葉に、ジョバンニとシリウスも窓の外へと視線を向けていた。
 「もうすぐ、しし座だね。」
 しみじみした声でシリウスが言う。
 「ジョバンニたちもおいでよ、流星際。銀河鉄道も、このしし座には長めに停泊しているはずだからさ!」
 嬉しそうに、シリウスは俺とジョバンニの顔を交互に覗き込んできた。
 俺は、どう答えていいのかわからずにシリウスと同じようにジョバンニの顔を覗き込んだ。
 「いいね。流星際なんて、一度逃したら次いつくるのかわからないからね。」
 ジョバンニが、行くというのなら俺はついていくだけだ。彼が決めたことに俺は逆らえない。