鏡の先の銀河鉄道

 『しし座から流れる流星』
 
 その言葉でなんとなく分かった。多分、『しし座流星群』のことだ。でも、あれはもっと前にあったはずだ。
 「それは、今年が初めてなの?」
 「うん。」
 シリウスは、嬉しそうに答えてくれた。
 「シリウスは、流星を取りにいくのかい?」
 ジョバンニの言葉の意味が分からなかった。流星は、流れていく星を見るだけのものなのに。それを取る?
 「違うよ、僕は流星際の手伝い。これを届けにいくんだ。」
 シリウスは、そう言いながら座席の横に置いてあった大きな鞄の袋を開けた。その中には、蒼い光を放つ沢山の石が入っていた。
 
 
 ――飲み込まれる――


 直感的にそんな感情があふれ出した。

 蒼い光が、俺の全てを飲み込み壊そうとしている。近づくな、これは危険なものだ。これは、俺を壊す。
 「しまってくれ!!」
 恐怖に脅えながら、シリウスを怒鳴っていた。
 「ご、ごめん・・。」
 俺の声に脅えながら、シリウスは慌てて袋の口を閉じた。目の前に居るジョバンニは、そんな俺たちのことを見ながら何も言わなかった。
 「叫ぶつもりはなかった、ごめん。」
 「いいよ!!僕が悪いんだから・・・でも、突然どうしたの?やっぱり今日のカムパネルラは、変だよ。」
 
 変なのかもしれない。
 
 『カムパネルラ』としての俺は。俺には、『カムパネルラ』という存在が分からない。どういう人間で、どんな風に人と付き合ってきたのか。

 それでも、俺は今カムパネルラなんだ。
 
 
 ほんの少しだけ、本当にカムパネルラかもしれないと思っている自分がいるのも確かだ。
 「ジョバンニ、僕は・・・。」